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2026.09.11インボイス制度で建設業の一人親方はどうなった?2026年の実態まとめ

インボイス制度で建設業の一人親方はどうなった?2026年の実態まとめサムネイル
【執筆者プロフィール】aoiroサーチ編集部。建設・建築業界に特化した企業情報ポータルサイトを運営。全国の建設企業の掲載支援を通じ、税務・法令・採用に関する情報を専門に発信しています。

2023年10月に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、建設業の一人親方にとって避けて通れないテーマとなっています。制度開始から約3年が経過した2026年現在、一人親方を取り巻く状況はさらに変化しています。特に2026年9月末で「2割特例」が終了し、10月からは経過措置の控除割合が80%から50%に引き下げられるため、対応を後回しにしてきた事業者にとって重要な局面を迎えています。本記事では制度の基本から2026年時点の実態・今後の対応策まで整理します。建設業の一人親方・協力会社を探している企業様はaoiroサーチの企業検索もご活用ください。

インボイス制度とは?建設業における基本的な仕組み

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、消費税の仕入税額控除を受けるために「適格請求書(インボイス)」の保存を義務づける制度です。2023年10月1日に開始されました。インボイスを発行できるのは、税務署に登録した「適格請求書発行事業者(課税事業者)」のみです。

建設業では多重下請け構造のなかで、課税売上高1,000万円以下の免税事業者である一人親方が現場の実務を広く担っています。国土交通省の推計によると、建設業の一人親方は全国で約51万人にのぼり、建設業就業者全体の10%超を占めます。インボイス制度の導入により、免税事業者の一人親方から工事を受注している元請け・上位下請け業者は仕入税額控除を受けられなくなるため、取引関係に大きな影響が生じることになりました。

仕入税額控除とは

消費税は売上時に受け取った消費税から、仕入・外注時に支払った消費税を差し引いて納税する仕組みです(仕入税額控除)。インボイス制度の導入後、インボイスのない請求書では原則としてこの控除を受けられなくなったため、免税事業者の一人親方に発注している企業はその分の消費税を丸ごと負担することになります。

「参照:国税庁 インボイス制度の概要」

一人親方が直面した2つの選択肢

インボイス制度の開始により、免税事業者の一人親方は大きく2つの選択を迫られました。それぞれにメリット・デメリットがあり、自身の取引先構成・売上規模・今後の事業方針によって判断が異なります。

選択肢
メリット
デメリット
課税事業者に登録する
・元請けから取引継続・新規受注がしやすくなる
・インボイスを発行できるため競争力が維持される
・消費税の納税義務が発生する
・帳簿・申告業務が増加する
免税事業者のまま継続
・消費税の納税義務がない
・経理負担の増加を回避できる
・元請けの仕入税額控除ができず取引継続を断られるリスク
・報酬引き下げ交渉を受ける可能性がある

建設業は恒常的な人手不足が続いているため、「インボイス未登録でも仕事が来ている」という一人親方も少なくありません。ただし経過措置の段階的な縮小により、元請け側の負担が増えるにつれて状況は変わりつつあります。

2026年が転換点:2割特例の終了と経過措置の変化

2026年は一人親方にとって制度対応の重要な節目となる年です。2つの大きな変化が重なります。

① 2割特例が2026年9月末で終了

インボイス制度の導入に合わせて課税事業者に転換した小規模事業者を対象に設けられた「2割特例」は、消費税の納税額を「売上にかかる消費税の2割」に抑えられる時限措置です。個人事業主の一人親方にとっては2026年分(2026年1月〜12月)の確定申告が最後の適用機会となります。2027年以降は原則課税または簡易課税での申告が必要になります。

② 経過措置の控除割合が80%→50%に変更(2026年10月〜)

免税事業者との取引における仕入税額控除の経過措置は段階的に縮小されています。2026年10月1日からは控除割合が80%から50%に引き下げられます。元請け・上位下請け業者にとっては負担増となるため、免税事業者の一人親方との取引を見直す動きが加速する可能性があります。

期間
免税事業者との取引における仕入税額控除の割合
2023年10月〜2026年9月
80%控除可能
2026年10月〜2029年9月
50%控除可能
2029年10月以降
控除不可(0%)

「参照:国税庁 インボイス制度の概要」

免税事業者のまま続けるリスク

2026年10月以降、免税事業者との取引における仕入税額控除が50%に下がることで、元請け・上位下請け側の実質的な負担が増加します。これにより以下のようなリスクが高まります。

取引の打ち切り・新規受注の困難化

インボイス未登録の一人親方に発注し続けると元請けの税負担が増えるため、取引先からインボイス登録を求められたり、発注先を登録済みの業者に切り替えられるリスクがあります。

報酬の実質的な引き下げ

取引を継続してもらう代わりに、元請けが負担する消費税分を報酬から差し引くよう交渉されるケースがあります。ただし一方的な値引き強要は独占禁止法・下請法上の問題になる場合があります。

2029年以降の完全控除不可

2029年10月以降は経過措置がなくなり、免税事業者との取引では仕入税額控除が一切できなくなります。先延ばしにするほど取引先への影響が大きくなるため、早期の判断が重要です。

一方的な値引き要求には相談窓口を活用

インボイス未登録を理由にした一方的な報酬引き下げや取引打ち切りは、独占禁止法・下請法上の問題になる場合があります。心当たりがある場合は公正取引委員会や中小企業庁の相談窓口へ。国税庁・公正取引委員会の連名でガイドラインも公表されています。

「参照:公正取引委員会 インボイス制度への移行に係る取引上の問題」

課税事業者登録後の選択肢:原則課税と簡易課税

課税事業者に登録した場合、消費税の申告・納税方法として「原則課税」と「簡易課税」の2つから選択できます。一人親方・小規模な下請け業者にとっては簡易課税制度が有利になるケースが多いです。

方式
計算方法
建設業一人親方へのポイント
原則課税
売上消費税-仕入消費税=納税額
実際の仕入・経費が多い場合に有利。帳簿管理が複雑になる。
簡易課税
売上消費税×(1-みなし仕入率)=納税額
建設業(第3種事業)のみなし仕入率は70%。売上5,000万円以下が対象。帳簿管理が簡便。

※簡易課税の適用には「消費税簡易課税制度選択届出書」の税務署への事前提出が必要です。詳細は税理士または税務署にご確認ください。

「参照:国税庁 No.6505 簡易課税制度」

2割特例が終了する2027年の確定申告(2026年分)以降、簡易課税制度に切り替えを検討する一人親方も増えています。ただし適用するには事前の届出が必要なため、早めに税理士や税務署に相談することをおすすめします。

まとめ:2026年秋が対応を見直す最後のタイミング

インボイス制度は制度開始から3年が経過し、2026年は一人親方にとって重要な転換点となる年です。2割特例の終了と経過措置の控除割合引き下げが重なる2026年秋は、対応を見直す実質的な最後のタイミングといえます。免税事業者のまま継続するか・課税事業者として登録するかの判断は、取引先との関係・年間売上規模・今後の事業方針を踏まえて、早めに税理士に相談しながら進めることが重要です。

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